タンクのさびとりのノウハウを公開しています。 タンクのさびとりはオーダ受付可能ですが、 少しでも自分で行ってレストアを安く楽しみたいという方は どうぞ有効活用ください。 それでペイントだけでもオーダーいただけるとうれしいです(笑)
タンクの錆取りノウハウを公開

まず強力洗剤(ワコーズアルミクリーン等)でタンクのガソリン、油分を洗い落とします。 このとき高圧洗浄機をつかって、とれる錆はふきとばしてしまいます。 とにかくよくすすぐ。錆などのゴミはなるべくとってしまい この後使うケミカルの効果を無駄なさびにくわれないようにするのがこつです。 このあと、水によるすすぎの場面が何回もありますが、 できれば高圧洗浄機つかうと効率がいいです。

次にサンポール(スーパーで売ってます)を大ビン1本タンク内に投入します。 振ってしばらく待ちます。 そのあと水を一杯にいれます。 サンポールを使うのは旧車界では古くから知られていますが なんといっても安いのがありがたいです。

2〜3日待ちます。 だんだん水が蒸発したりもれて減ってきますので ときどき補充します。 中の液を捨て、よくすすぎます。 錆のカスもいっしょに洗い流して下さい。 出しにくいときは、石油ポンプをつかうとやりやすいです。

この段階でとれていない錆があったら、 もう一回サンポールをいれるところからくり返します。

それですすぎ終わったら、簡易的に錆び止めをします。

まずは、はなさかGタンククリーナーで内部を処理します。 本来は錆取り用のケミカルですが、錆び止め効果もあります。 だいたい錆はサンポールで取れているので コップ一杯も入れれば良いです。 それで振って、しばらくしたら水を一杯にいれてうすめて振って下さい。 1日くらい置いて、(錆がサンポールで確実にとれていると思われましたら 2〜3時間でも十分です) その後水ですすいで、良く乾燥させて下さい。 (ふとん乾燥器のエアを中に導入すると風と熱で良く乾きます。 このとき、フューエルコックの穴が空気の逃げになる位置にタンクを 置いて下さい)

さらに確実に錆対策をしたい場合、又は穴が空き気味の場合は 船舶用の塗料でコーティングします。 この処理の前に、大きな穴は溶接やエポキシで埋めておきます。 必ずここまでの水分は完全に乾燥させて下さい。

良く、錆とり剤で穴が空いたと言う人がいますが 正確には錆を落としたらもとのタンクが錆で無くなっていた、というのが正解です。 錆取りケミカル類は決してまともな鉄を侵食したりはしないものだと、 いままで使った限りでは感じています。 ただし、フューエルコックおよび、キャップの材質は、あまり長い間つけておくと 錆とり剤でとけてきます。最悪の場合は交換が必要だと言う事を 覚悟しておくか、別の方法で液をとどめておく方法を考えて下さい。 長い間でなければコックで液をとめておいても大丈夫です。

船舶用の塗料(POR15フューエルタンクシーラー)でコーティングします。 最近はかなり価格が安くなってきました。ストレートなどの工具店で売っています。

まず、もれないようにタンクの穴をふさぎます。 (ねじ穴もねじなどで埋まらないようにマスクして下さい) 中にコーティング液を原液のまま投入します。 このときじょうごを使うとやりやすいです。 上の穴もガムテープ又はマスキングテープでで確実にふさぎます。 良く振り全体に行き渡らせます。

溜った塗料を下から抜きます。 良く抜いて下さい。 2〜3日乾燥させます。 コーティングが薄いと思ったら乾燥させてから、再度液を入れるところからくり返します。 生乾きのうちに重ねてやると泡立ったり、流れてうすくなったり失敗します。

3回以上やる必要は無いと思います。

ガソリンを入れるのは完全に乾燥したのを確認してからにして下さい。 乾燥してから、程々の熱を加えるとよく硬化するようです。 また、全く乾燥した環境で、気温が低いといつまでも硬化しない場合があります。 少し湿気を与えると塗料の効果が進むようです。(息を送り込む程度でいいです)

くれぐれも早すぎる段階で熱をかけないで下さい。 泡立って失敗します。

また、それぞれのケミカルの説明は良く読んで下さい。 このマニュアルはその説明と食い違う部分もありますので 注意して下さい。 このテキスト書類のノウハウは、市販の錆取りケミカルでの失敗の原因を 追求してできたものです。 今思うとケミカル会社にもけっこうクレームが行ったんじゃないでしょうか。 -------------------------------- さてここまで読まれて自分でやろうという人はなかなか居ないと思います。 ショップでも相当な工賃がかかるわけが御理解いただけると思います。 それだけ大事にしたいバイクへのこだわりや、思い出がある方 御依頼お待ちしております。 なお、このマニュアルに関する問い合わせは、 ケミカルを購入いただいたお客様、 または当店でバイクをお買い上げいただいた方 に限らせていただきます。 どうしてもと言う場合はメールでお答えしますが 他の仕事が優先しますので返答はすぐにはできないと思いますので 御了承下さい。 2004.6.20追加情報 新品に近いタンクにはコーティング(POR15)がなじみにくい場合がある事がわかりました。 御注意下さい。 2005.6.12追加情報 ワコーズからエポキシ性のコーティング剤が発売されました。 テスト品をみたところPOR15を超える決定版の予感ありです。 近日テストしてみる予定です。 コストは若干高くなってしまうようです。 2006.9.9内容を現時点での情報に訂正しました。 2007.4.24追加情報 タンク内の水を乾燥するときのヒント 振って水の音がする間はその水が乾きが遅く錆びにつながることがあるので ある程度乾燥機で熱をもったら、振って水を広げて蒸発しやすくしてやります。 音がしなくなれば、ふとん乾燥機のメモリを最長にして(3時間) 置いておけばさびる前に乾かすことができるでしょう。 2007.4.24追加情報 実際に使用する前にガソリンを入れてしばらく置いて 漏れがないか確認した方がいいです。 サビ取り中は全く水の漏れがなかったと思ったのですが ガソリンを入れたら漏れていたと言うケースがありました。 外部のサビでかろうじてもれないくらいに塞がっていたあなが 走行中の振動で落ちて漏れはじめたと考えられます。 結局コーティングが必要でした。 2009.10.2追加情報 さびとりケミカルをいれてふたをするためにガムテープを使用する 場合があると思いますが、このとき、透明なガムテープを使用すると 液の減少具合やさびとりの進行状況が多少なりともわかるのでおすすめです。 塗装を痛めないようにするためできるだけ粘着力の少ないものを使用してください。 剥がすときの破損を少なくするためです。 2009.追加コメント 旧来の鎖をタンク内にいれて揺する方法とケミカルでのさびとりを併用するのも 有効なテクニックであります。 これにプラスして、内視鏡があれば理想的ですが、いいものは高価なようで まだ投入できていません。 2009.追加情報 コーティングを重ねる際に条件が悪いと食いつかずに剥離する例があるようです。 コーティングの溶剤濃度、乾燥具合、気温条件などによるものと思われます。 ほぼ原因は把握していますが、確実ではないので公開は遠慮させていただきます。
タンクのさびとりとコーティングに関するその他のリスク集 錆びとり完了後の水分を『熱乾燥する時に古い塗装が痛む』場合があります。 特にラッカー系の上にウレタンクリアを塗装したものが危険です。 (自然乾燥では水分でタンクが錆びてしまうため熱乾燥は避けられません) 一部の塗装では、ケミカルや水分と反応して変色やふやけが発生するリスクがあります。 サビ取り中に穴が開き、塗装と鉄部の間に反応がおこり、塗装が浮き上がる場合があります。 コーティング液を抜く時にタンクの外面に付着しないようにするために マスキングを行いますが、そのマスキングをはがす際に古い塗装がはがれてしまうリスクがあります。 急速な重ねコーティングを行うと層間はくりをおこし、タンク内でコーティングが 浮いてしまう場合があります。ひどい場合はタンク使用不可能になります。
自分で行うのを断念してオーダーする場合はこちらにどうぞ→ カスタムペイントウレタン屋